はじめに
企業分析プロジェクトを行っております。
今後気になった企業のファンダメンタル分析を通じ,将来を予測してみようと思います。
数字が苦手な方のために,基本的にグラフにて解説をさせていただきたいと思います(直感的!)。
選定企業とその理由
一言で言うと,
「ポストコロナ禍において,労働流動性の活発化が予想され,人材系エージェントの企業の躍進を予感したから」です。
その背景として,次の3つがあります。
① 現状:失業者の増加
・新型コロナウィルス「CIVID 19」の影響で失業率が2.5%に増加している。
特に、アメリカでは失業率が14.7%と過去最悪な状態となっている。
・有効求人倍率も低下の一歩を辿っており,彼らを救う「働き口」がない。
・コロナウィルスの影響が長引くにつれ、多くの企業でリストラが発生することも考えられることから,失業者は増加の一途をたどるであろう。
② 潜在的ニーズ①:失業者の救済による一時的な需要拡大
・ポストコロナであれ,withコロナであれ,失業者がこのまま放っておかれることは現実的でない。
そこで,彼らを「顧客」として扱う人材派遣業には,とくに外出自粛の解禁後に需要が来ると思われる。
③ 潜在的ニーズ②:労働者の流動性の拡大に伴う需要拡大
・感染症蔓延による経済停滞リスクが広く国民に認識されたこれからの世界では,人材の流動性の上昇は一時的なものではなくなるのかもしれない
(年功序列を待たずに,短期的に条件の良い職場で「稼ぐ」ことが重視されるかもしれない)。
株価動向
長期チャート(5年)
起伏はあれどコロナウィルスの影響が出た2020年前までは,右肩上がりの状況みたいですね。
※ヤフーファイナンスより切り抜きをさせていただきました。
stocks.finance.yahoo.co.jp
短期チャート (6ヶ月)
2020年2月10日ころまでは,コロナウィルスの影響は特にみられないですね。
2020年2月末より下降し、2020年4月頭に安値を付け現在(2020年5月8日)まで徐々に回復してきていますね。
コロナウィルスの影響前の価格である4,500円まではまだ戻っておらず,3,100円台で燻っている状態ですね。
※ヤフーファイナンスより切り抜きをさせていただきました。
stocks.finance.yahoo.co.jp
現在の財務状況
売上高推移
2019年度分については,四半期決算分のデータのみ公開されているため
[2019年4月〜12月までの売上]に対して[同水準で2020年3月末を迎えた場合]にてグラフを作成しました。
計算方法:[2019年4月〜12月までの売上×4/3]
2017年から堅調に売上高が上昇していることが見て取れますね。
(実際にはコロナウィルスによる広告費の減少や、じゃらんやホットペッパー等斡旋サイトの売上減少が見込まれるため、グラフの結果ほど良い数字にはならないと予測している。)
株価収益率推移
2017年から株価は堅調に上昇し、かつ売上収益も堅調に上昇したことにより
株価収益率についても堅調に伸びていることがわかりますね。
短期的な資産の動きを捉えるため、貸借対照表に表記されている流動資産を流動負債で割り財務状況を検証してみます。
ここ3年間では年々流動負債の割合が高くなっていることがわかりますね。
しかし大幅な変化はなく,安定していると見て取れるかと思います。
長期の安全性(負債比率)
毎年変化は生じているが大幅な変化はなく、安定していることがみてとれますね。
セグメントごと(事業別)の売上割合売上高比率
当第3四半期累計 (自 2019年4月1日至 2019年12月31日)を円グラフにしております。
まず簡単に各セグメントの説明(間違っていたらすいません)
HRテクノロジー:オンラインでの広告セグメント
メディア&ソリューション:SUUMO、ゼクシィ、じゃらん、ホットペッパー等の販売促進を行うセグメント
人材領域:リクナビ等の就職斡旋セグメント
人材派遣:リクルートスタッフィング等の人材派遣セグメント
最も多いのは人材派遣セグメントですね。
やはり人身売買は高い!笑
コロナ禍では「メディア&ソリューション」について「外出規制や、財源の問題」により縮小してしまうと考えています。
直近の開示資料
「新型コロナウイルス感染拡大の影響による2020年3月期通期連結決算スケジュールに関するお知らせ」
と題した報告書を4月20日に出しました。
通常と業務環境が異なるテレワークの推進により通期決算発表を5月27日とする旨の説明がなされました。
その中に以下の文章がありましたのでご説明したいと思います。
「なお、2020年3月期の連結業績予想については、2020年2月14日に公表した内容から本日時点で変更はありません。」
※IRニュース以下URLから転載
これより3月期についてはあまり減少が発生していないことが見て取れますね。
この状態で、決算発表時に「下がりました」なんて発表したら株価だだ下がりですよね。
recruit-holdings.co.jp
経営者の経歴
立教大学の経済学部卒業後リクルートに入社し、ゼクシィの開発にも関わったそうですね。
その後代表取締役兼CEOに就任したようです。
経歴は以下ブログを参考にさせていただきました。
naichanblog.com
結構いいブログ的今後の株価期待値
期待値は以下の式で算出させていただきました。
(推定株価÷現在の株価)
現在の株価:3,149円(2020年5月8日大引)
2020年決算発表時の推測
短期的な株価推移の材料を以下3つにまとめたいと思います。
①「連結業績予想に変化はない」との記載より、大幅な収益の減少は見られないものと考えられる
②「じゃらん」や「ホットペッパー」など東京では明らかに収益に影響する項目がある
③人材派遣分野については業界全体が活発になり上昇する可能性がある
上記より今年の収益は昨年の2019年通期の収益程度におさまると推定します。
そして2020年の決算発表時の株価は昨年の2019年通期決算発表時の株価である「3300円〜3600円」程度と推測します。
2020年決算時推定株価:3300円〜3600円
結構いいブログ的期待値:1.05〜1.14程度
中期的な推測
①じゃらん等のメディア&ソリューションの分野についての減速はコロナ禍では止むを得ない
②人工知能等を利用した紹介サービスの登場やSNSの影響が大きくなってきていることもあり、ホットペッパーなど現在の掲載料によるビジネスモデルは縮小すると予測
③しかし販売促進事業はセグメントの割合が小さいこともあり、コロナ収束後数年のうちには人材領域や人材派遣分野の割合が上昇し、全体のベースアップになると推測
④その後には人材の流動性が向上すると予測するためさらなる当該セグメントの上昇が予測される。
上記より、数年以内にコロナ前の株価に戻れるものと予測する。
2025年決算時推定株価:4,500円以上
2025年結構いいブログ的期待値:1.43程度
長期的な推測
人口減少リスクについて
「でも、日本の生産人口は減少するじゃん!」
って思いますよね。
そこでリクルートは以下のように高齢者むけのサービスを始める予定です。
以下に有価証券報告書の内容を転載します。
「当社グループは、海外事業の更なる拡大、国内事業の市場シェア及び収益性の向上並びに 高齢層をターゲットとした新規事業の展開によりこれらの影響を緩和する方針ですが、それが功を奏さなかった場 合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。」
※2019年有価証券報告書より
日本の減少する人工に対して以下のように対策を講じる予定とのこと。
でもでもでもでも、生産人口と関係のない高齢者向けの事業については大幅な増益になることは期待できないと推測している。
国内総生産に影響しない分野への投資や支出はリターンが見込まれないため、残念ながら「ある程度」で収束してしまうと考えています。
やはり人材の流動性が活発になり、人口が頭打ちになった時にどのような対策を講じられるかがその後の成長に影響してくると考えています。
長期的には現在の状況では中期的な期間までは伸びるが、何もしなければ収束してしまうと考えてしまいます。
しかし、リクルートは新しい事業を始めるバイタリティーのある企業であるため、今後の発表や事業に期待したいと思います。
以上
※有価証券の取り扱いにはリスクが伴います。
最終的なお取引はご自身の判断と責任においてお願いいたします。